【キャバクラ・スナック】風俗営業許可を取得するためにはどんな手続きが必要? 専門行政書士が分かりやすく解説!

キャバクラ・スナック等 開業までの流れ・手続きについて
目次

キャバクラ、スナック等を開業するには?

 キャバクラやホストクラブなど、いわゆる「社交飲食店」を営業する場合は、必ず公安委員会から風俗営業1号許可を取得する必要があります。

 また、スナック、ガールズバー、コンセプトカフェ(コンカフェ)などの飲食店で、従業員が顧客に特定のサービス(=接待行為)を提供する場合も、同様に風俗営業許可が必要です。

 そのため、同ジャンルの店舗であっても、接待行為の有無によって、風俗営業許可が必要か、あるいは深夜酒類提供飲食店営業(深酒営業)などの形態で営業するかが異なります。営業形態に応じて、必要な許可や届出を適切に確認することが重要です。

 当記事では、そんな風俗営業(1号)で開業するための要件や営業上の注意点などについて分かりやすく解説します。

 

風俗営業許可の要件

 風俗営業(1号)取得の条件として「人的要件」「場所的要件」「構造・設備的要件」…の3つの要件をクリアしなければなりません。

人的要件(許可が取れない人)

 申請者(法人の場合は役員全員)と管理者が、以下の事項に当てはまる場合は許可されません。

風営法第4条

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は一定の罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  • 風俗営業許可を取り消されて5年を経過しないもの
  • アルコール・麻薬・大麻・アヘン・覚せい剤の中毒者
  • 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者 …等々

 簡単にいえば、過去&現在進行形で何も悪いことしていなければ問題ないということです。 

 なお、申請者が外国人の場合は、「定住者」「永住者・特別永住者」「日本人の配偶者等」「経営・管理(※管理者は不可)」の在留資格者であれば申請できます。

場所的要件

 風俗営業に含まれる社交飲食店はどこでも営業できるというわけではなく、許可を取得をできる営業所は「用途地域」「保全対象施設からの距離規定」で制限(=営業できない)されています。その基準となるのが以下の表です。

風適法・政令第6条 

  • 「住居集合地域」(=住居が多数集合しており、住居以外の用途に供される土地が少ない地域)
  • 「保全対象施設の周辺の地域」(=その他の地域のうち、学校、病院その他の施設でその利用者の構成その他のその特性に鑑み特にその周辺における良好な風俗環境を保全する必要がある施設として都道府県の条例で定めるもの)
  • ②に掲げる地域内の地域につき制限地域の指定を行う場合には、当該保全対象施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲おおむね百メートルの区域を限度とし、その区域内の地域につき指定を行うこと。

①住居集合地域

 具体的には、

・「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」
・「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」
・「第一種住居地域」「第二種住居地域」
・「準住居地域」
・「田園住居地域」

 を指し、営業所がこれら用途地域に入っていれば原則許可を取得することはできません。また、建築基準法では「工業地域」「工業専用地域」での建築が制限されています。

 したがって、営業可能な地域は、事実上「商業地域」「近隣商業地域」「準工業地域」となります。※条例により緩和措置あり

②保全対象施設周辺の地域

距離制限のイメージ 赤色の範囲内で営業することはできない
距離制限のイメージ 赤色の範囲内で営業することはできない 

 保全対象施設とは、学校(幼稚園~大学等)や図書館、病院・診療所(入院施設を有るものに限る)などの施設を指し、営業所がこれら施設から一定の範囲内にある場合は許可を取ることができません。さらに表③では、その範囲(=距離制限)について「最大100mまで」と定めています。

神奈川県の場合

 各都道府県はこれらの規準に従い条例で独自のルールを設けていますが、神奈川県の場合は以下のように規定されています。

用途地域営業の可否
住居専用地域×
住居地域 (準住居地域を含む) ×
※商業地域の周囲30m以内なら〇
工業地域、工業専用地域
(建築の制限あり)
商業地域、近隣商業地域、準工業地域
神奈川県の場合

 

保全対象施設距離制限(この範囲での営業は不可)
学校(大学を除く)100m以内の地域
学校(大学に限る)、図書館、児童福祉施設、病院及び診療所(入院施設を有するもの)70m以内の地域
※営業所が商業地域にある場合は30m以内の地域
神奈川県の場合

 

構造・設備的要件

 営業所の構造・設備については、以下のような要件を満たさなければなりません。

・客室の床面積:和風の場合は1室につき9.5㎡以上、それ以外(洋室)は1室につき16.5㎡以上

ただし、客室が1室のみの場合は床面積の制限はありません。

・営業所の外部から客室が容易に見えないこと。

ドアや窓ガラスなどを通して、外から店内が見えないようにします。カーテンやスモークフィルムなどを設置して対応。

・客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。

概ね1mを超える物は設置できません。たとえば、大きい観葉植物、棚・椅子その他家具全般

・善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。

セクシーな写真等の装飾がこれに該当します。

・客室の出入口に施錠の設備を設けないこと(※営業所の外に直接通じている出入口は除く)

客室に個室(例 VIPルーム)を設置した場合、鍵を付けたり等の施錠設備を設けることはできません。

・客室の照度が5ルクスを超えること。

スライダック等の調光機能は原則不可ですが、スライダック自体を禁止しているわけではなく、調整しても規定照度を維持できれば問題ありません。

騒音と振動の数値が各条例で定める数値以下であること。

規定値は、時間帯や用途地域によって異なります。

管理者の選任

 営業者は、営業所ごとに管理者を1人選任する必要があります。管理者とは、「営業所における業務の実施を統括管理する者」を指します。通常、店長や支配人が選任されますが、申請者本人が管理者になることも可能です。

 管理者の主な役割は、風俗営業者や従業員に対し、法令を遵守した業務を行うよう「助言」や「指導」を行うことです。その他の業務には以下が含まれます:

  • 従業者名簿の保存と記載内容の管理
  • 業務実施に関する苦情の対応
  • 従業員への指導計画の作成および現場での指導

管理者は、風俗営業を健全に運営するための重要な役割を担います。

必要な申請書類

 申請書及び添付書類は以下の通りです。当事務所が用意する書類は、お客様の方でご用意していただく書類は☆印で記載しております。

申請書・添付書類用意・作成する人物備考欄
許可申請書(個人または法人)
営業所周辺の略図用途地域証明または都市計画図
使用承諾書
建物の全部事項証明書 ○※※役所に請求
入居概況一覧図営業所が入居する建物の他テナント一覧を記載
1階概況図
入居階概略図
営業所求積図
客室などの求積図
営業所の平面図
求積一覧
音響・照明の設備図
営業方法を記載した書類営業時間、システム・料金等を記載
誓約書(個人また法人)法人の場合は全役員分
誓約書(管理者用A・B)A:誠実に業務を行うこと
B:欠格事由に該当しないこと
委任状行政書士が手続きを代理する場合
住民票(申請者、管理者) ○※※役所に請求 本籍を記載
履歴事項全部証明書(法人の場合) ○※※役所に請求
メニュー案
物件契約書のコピー ※必須書類ではないが、必要な場合もあり
定款のコピー
身分証明書(申請者、管理者)法人の場合は全役員分。外国人の場合は在留カードの両面コピー
飲食店営業許可証のコピーすでに許可証がある場合
管理者の顔写真

営業上の注意点・義務

注意事項

主な遵守事項

営業時間の制限

 営業時間は原則として「午前6時から午前0時まで」と風営法で定められていますが、都道府県によっては0時以降も営業可能です。

 神奈川県の場合、12月15日〜翌年の1月10日の間、横浜市中区及び川崎市川崎区の一部(日時問わず)については午前1時まで営業することができます。

従業者名簿を備付ける義務

 営業所ごとに、従業員に関する「住所」「氏名」「生年月日」「従事する業務内容」等を記載した従業者名簿を備えなければなりません。さらにその名簿は、従業者が退職した日から起算して3年を経過する日まで保管しておく必要があります。

外国人雇用

 従業員として働ける外国人は、「定住者」「永住者・特別永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格者です。

構造及び設備の維持

 構造・設備的要件で記載されている事項については、営業後も維持し続けなければなりません。

その他注意事項

■18禁・20禁の標識を掲示

入り口付近に「18歳未満の者が営業所に立ち入ってはならない」、「20歳未満の者に酒類を提出しない」という旨を表示しなければなりません。

■料金表の表示

料金表(システム料金・メニュー案など)は、お客さんの見やすいところに表示しなければなりません。

■従業員名簿を用意

営業者が備えておかなければならない名簿です。この名簿には従業員の個人情報が記載されるため、実査の段階では用紙のみでOKです。

■迷惑行為防止措置、苦情処理に関する記録簿を用意

深夜0時以降も営業する場合に必要です。迷惑行為防止措置とは、お客さんに対して「騒いだり、暴れたりしないでください」という旨をポスターなどで注意喚起したり、口頭で直接説明しなければならなりません。苦情処理に関する記録簿は、実際に苦情があったときに記載する書類です。

 なお、上記は実査のチェック項目でもありますので、こちらは許可取得前の段階から準備しておく必要があります。

※実査とは、風俗環境浄化協会の検査員や管轄の警察官が営業所に訪れ、構造・設備要件を満たしているか、申請書類の内容と相違はないか等のチェックを行うことです。

禁止事項

  • 客引き行為。その行為をするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、またはつきまとうこと
  • 営業所で、18歳未満の者に客の接待をさせること
  • 営業所で、午後10時~翌午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させること
  • 18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること
  • 営業所で、20歳未満の者に酒類・たばこを提供すること

 これら注意事項に抵触した場合、許可取消・営業停止などの行政処分や、懲役・罰金などの刑罰を受ける恐れがありますので、営業後も法令を遵守するよう努めなければなりません。

手続きの流れ

事務作業のイメージ

 許可取得までの流れは以下の通りです。なお、風俗営業1号許可を申請する場合は、前提として「飲食店営業許可」を取得しておく必要があります。

STEP
打ち合わせ

営業所の「所在地」や「営業形態」、お客様(申請者・法人であれば役員・管理者)が欠格事由に該当するか否かを確認。この時点で、各種要件をクリアしていない場合はキャンセルとさせていただきます。

STEP
用途地域・保全対象施設の調査

営業所が、許可を取得できる場所にあるかチェック。ここで問題ないことが確認できれば、正式に受任とさせていただきます。

STEP
構造及び設備的要件をチェック、営業所の計測

営業所の設備・構造が要件をクリアしているかチェック。申請に必要な書類(平面図等)を作成するため、レーザー距離計やコンベックス等を使用して室内を計測します。

STEP
※飲食店営業許可の申請手続き

詳細はこちらから→飲食店営業許可申請の概要

STEP
風俗営業許可の申請

完成した申請書類を、営業所の所在地を管轄する警察署へ提出。

STEP
構造検査(実査)

警察署の担当者が営業所に訪れ、構造や設備など各種許可要件を満たしているかチェック。

STEP
許可~営業許可証・管理者証の受け取り

すべての許可要件をクリアしていれば、申請日から通常55日ほど(標準処理期間)で許可通知が届きます。後日、その証明となる営業許可証・管理者証が発行されます。

STEP
営業開始

許可通知が届いた時点で基本的に営業可能となります。 

◆補足 ステップ⑤「実査」をクリアするための確認事項です。
■構造及び設備的要件を再確認

客室内部に見通しを妨げる設備(100mを超える家具等)の有無、外から店内が丸見えか…等をチェック

■18禁・20禁の標識を掲示

入り口付近に「18歳未満の者が営業所に立ち入ってはならない」「20歳未満の者に酒類を提出しない」という旨を店舗入口に表示しなければなりません。

■料金表の表示

料金表(システム料金・メニュー案など)は、お客さんの見やすいところに表示しなければなりません。

■従業員名簿を用意

営業者が備えておかなければならない名簿です。この名簿には従業員の個人情報が記載されるため、実査の段階では用紙のみでOKです。

■迷惑行為防止措置、苦情処理に関する記録簿を用意

深夜0時以降も営業する場合に必要です。迷惑行為防止措置とは、お客さんに対して「騒いだり、暴れたりしないでください」という旨をポスターなどで注意喚起したり、口頭で直接説明しなければならなりません。苦情処理に関する記録簿は、実際に苦情があったときに記載する書類です。

※実査とは、風俗環境浄化協会の検査員や管轄の警察官が営業所に訪れ、構造・設備要件を満たしているか、申請書類の内容と相違はないか等のチェックを行うこと。

まとめ

 以上、風俗営業許可(1号)を取得するための手続きや注意点などについて説明いたしました。

 申請(届出)自体はお客さまご自身で行うことも可能ですが、当事務所(行政書士)に頼むメリットは、

  • 「書類集め」「書類作成」「図面の作成」等の面倒な作業を丸投げできる!
  • 警察署や保健所など行政機関へ行く時間を省ける!
  • 許可取得ために風営法やその他関連法令を深く調べる必要はなし!

…などなど。仮にお客さま自身で書類を作成し申請の段階までもっていくことができたとしても、申請書類を書き直し・修正の繰り返し(補正)でなかなか受理してもらえないという状況も想定されたりと、本業以外のことで何かと手間がかかってしまう恐れがあります。

 そういう事態にならないためにも、最初から専門の行政書士に頼んだ方が結果的にコスパが良いかもしれません。もし開業をご検討中の方がいましたら、ぜひ当事務所にお任せください。

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