※営業電話はご遠慮ください
【バー・ガールズバー】深夜営業店を開業するために必要な許可とは? 専門行政書士が分かりやすく解説【風営法】

バー・ガールズバーを開業するには?
バー、ガールズバー、そして近年話題のコンセプトカフェ(コンカフェ)などの飲食店を開業するには、どのような手続きが必要なのでしょうか。また、開業後にはどのような運営が求められるのでしょうか。
本記事では、店舗オープンまでの流れをはじめ、各種要件や必要書類の詳細、さらに営業後の注意点について、分かりやすく解説します。
どの許可・届出が必要?

まず営業所が、どの業種(風俗営業(社交飲食店)、特定遊興飲食店営業、深夜酒類提供飲食店営業、飲食店営業)に当てはまるか考えなければなりません。ポイントは以下の4つです。
- 接待行為の有無
- 当該店舗がお酒をメインに提供する飲食店か
- 営業時間が午前0時以内か
- 深夜営業&お酒を提供&ショー(遊興)のすべてを行う場合
①「接待行為の有無」について
従業員がお客さんに対して接待を行う場合、風俗営業(1号)の許可が必要です。 どういう形態であれ、接待行為ができる営業所は、風俗営業の許可を受けている場合に限られます。なお、風俗営業の許可を受けた場合は原則、営業時間が午前0時まで(午前0時から午前6時は営業不可)となります。

②「お酒をメインに提供する飲食店か」について
風営法第2条13項では、「飲食店営業のうち、バー、酒場その他客に酒類を提供して営む営業(営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く。以下「酒類提供飲食店営業」という。)と規定されています。
つまり、ご飯や麺類などの主食(たこ焼きやピザなども含む)がメインでない飲食店は「酒類提供飲食店営業に該当する」ということです。
③「営業時間が午前0時以内かどうか」について
風営法では、深夜営業について「午前0時から午前6時までの時間」と定義していますので、営業時間が~午前0時以内であれば深酒の届出は不要となります。
よって、酒類提供飲食店が深夜まで営業を行う場合に「深夜酒類提供飲食店営業」となり、その際は深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要となります。
そして最後の④については、少し前に風営法で新設された「特定遊興飲食店営業」に該当し、これはいわゆるショー的な営業を行うお店です。
※社交飲食店、特定遊興飲食店、深夜酒類提供飲食店の許可・届出を行うためには、前提として飲食店営業許可が必要です。
簡単にまとめると…
・「接待行為」を伴うなら風俗営業の許可が必要
・「深夜営業」「お酒がメイン」「接待行為なし」…これらすべてに当てはまる場合は深夜酒類提供飲食店営業開始届
・「午前0時前に閉まる」や「一般的な飲食店(=主食がメイン)」などであれば飲食店営業許可のみOK
・「深夜営業」「お酒を提供」「遊興(ショー等)を行う」…これらすべてに当てはまる場合は特定遊興飲食店営業許可が必要
風俗営業許可・深夜酒類提供飲食店営業の要件

このように、店舗が「どのような形で営業していくか」によって、必要となる許可・届出の種類が異なり、それに伴う要件も変わります。ここでは、メインの「風俗営業」「深夜酒類提供飲食店営業」と、どちらの業種でも必須となる「飲食店営業」の要件について説明していきます。
風俗営業許可の要件
人的要件(欠格事由の有無)
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は一定の罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 風俗営業許可を取り消されて5年を経過しないもの
- アルコール・麻薬・大麻・アヘン・覚せい剤の中毒者
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者 …等々
地域要件(神奈川の場合)
学校や病院などの保全対象施設から一定の区域内に、営業所を設けることはできません。
保全対象施設 | 距離制限(この範囲での営業は不可) |
---|---|
学校(大学を除く) | 100m以内の地域 |
学校(大学に限る)、図書館、児童福祉施設、病院及び診療所(入院施設を有するもの) | 70m以内の地域 ※営業所が商業地域にある場合は30m以内の地域 |
また、住居専用地域・住居地域 (準住居地域を含む)に営業所を設置することは原則できません。
用途地域 | 営業の可否 |
---|---|
住居専用地域 | × |
住居地域 (準住居地域を含む) | 原則× ※商業地域の周囲30m以内なら〇 |
工業地域、工業専用地域 | △ (建築の制限あり) |
商業地域、近隣商業地域、準工業地域 | 〇 |
「規則で指定する地域(観光地等)で、ホテル営業・旅館営業の施設において風俗営業(パチンコ店等を除く)を営む場合の住居専用地域・住居地域(準住居地域を含む)」であれば営業可能です。
構造及び設備的要件
- 客室の床面積:和風の場合は1室につき9.5㎡以上、それ以外(洋室)は1室につき16.5㎡以上(※客室が1室のみの時は制限なし)。
- 営業所の外部から客室が容易に見えないこと。
- 客室の内部に見通しを妨げる設備(概ね1mを超える物)を設けないこと。
- 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
- 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと(営業所の外に直接通じている出入口は除く)。
- 客室の照度が5ルクスを超えること(スライダック等の調光機能は原則不可)。
- 騒音と振動の数値が各条例で定める数値以下であること。
深夜酒類提供飲食店営業届出の要件
用途地域による制限
営業可能な地域と、できない地域は以下の通りです。
用途地域 | 営業の可否 |
---|---|
住居専用地域 | × |
住居地域 (準住居地域を含む) | 原則× ※商業地域の周囲30m以内なら〇 |
商業地域、近隣商業地域、準工業地域、工業地域 | 〇 |
※都道府県の条例により営業可能な地域が緩和されている場合もあります。
構造・設備要件
- 客室の床面積:一室につき9.5㎡以上であること(客室の数が1室のみの場合は制限なし)。
- 客室の内部に見通しを妨げる設備(概ね1mを超える物)を設けないこと。
- 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
- 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと(営業所の外に直接通じている出入口は除く)。
- 客室の照度が20ルクスを超えること。
- 騒音と振動の数値が各条例で定める数値以下であること。
・人的要件(欠格事由の有無)→特にございません。
飲食店営業許可の要件
飲食店営業の施設基準(※相模原市の場合)
- ■広さ
-
屋外からの汚染を防止し、衛生的な作業を継続的に実施するために必要な構造又は設備があること。食品等※1の取扱い量に応じた十分な広さを有すること。※施設とは、作業場、更衣室、トイレ、保管場所等で客席は含まない。
- ■区画
-
食品等への汚染を考慮し、作業区分に応じ、間仕切り等により必要な区画がされ、工程を踏まえて施設設備が適切に配置され、又は空気の流れを管理する設備が設置されていること。住居その他食品等を取り扱うことを目的としない室又は場所が同一の建物にある場合、それらと区画されていること。(自宅のキッチンと兼用することはできません。)
- ■構造
-
じんあい、廃水及び廃棄物による汚染を防止する構造又は設備を有すること。 ねずみ及び昆虫の侵入を防止する設備を有すること。
- ■床、壁、天井
-
・食品を扱う作業場所の真上は結露しにくく、結露によるかびの発生の防止、結露による水滴で食品等を汚染しないよう適切な換気構造(設備)があること。
・食品を扱う作業場所の真上は結露しにくく、結露によるかびの発生の防止、結露による水滴で食品等を汚染しないよう適切な換気構造(設備)があること。
- ■照明
-
作業、検査、清掃等を十分できる照度を確保できる機能を備えること。
- ■給水・排水設備
-
・給水設備:水道水又は飲用に適する水を必要な場所に適切な温度で十分な量を供給できること。(井戸水、貯水槽を使用する場合は別途基準あり)
・排水設備:十分な排水機能を有していること。汚水の逆流により食品又は添加物を汚染しないよう配管され、かつ、施設外に適切に排出できる機能を有すること。配管は十分な容量を有し、かつ、適切な位置に配置されていること。
- ■手洗設備
-
従業員の手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式手洗い設備を必要数有すること。水栓は洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造であること。
- ■冷蔵庫(必要な場合)
-
冷蔵又は冷凍設備を備えること。
- ■ねずみ昆虫駆除設備
-
必要に応じて、ねずみ、昆虫等の侵入を防ぐ設備及び侵入した際に駆除するための設備を有すること。
- ■トイレ
-
従業者の数に応じて有すること。 作業場に汚染の影響を及ぼさない構造であること。専用の流水式手洗い設備を有すること。
- ■保管設備
-
原材料を種類及び特性に応じた温度で、汚染の防止可能な状態で保管することができる十分な規模の設備を有すること。施設で使用する洗浄剤、殺菌剤等の薬剤と食品等を区分して保管する設備を有すること。
- ■ゴミ箱
-
不浸透性及び十分な容量を備えており、清掃がしやすく、汚液及び汚臭が漏れない構造であること。
- ■更衣場所
-
更衣場所は、従事者の数に応じた十分な広さがあり、及び作業場への出入りが容易な位置に有すること。(原則、施設内に有し、更衣後の屋外移動はしない)
- ■シンク
-
食品等を洗浄するため、必要に応じて熱湯、蒸気等を供給できる使用目的に応じた大きさ及び数を有すること。
人的要件
店舗ごとに1名の食品衛生責任者を置かなければなりません。以下、責任者になるための条件です。
- 栄養士、調理師、製菓衛生士等の資格者
- 食品衛生管理者または食品衛生監視員となることがきる資格を有する者
- 食品衛生責任者の資格取得のための養成講習会修了者
逆に以下の事由に該当する場合は許可が取れません。
- この法律(食品衛生法)又はこの法律に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
- 食品衛生法(第54条から第56条までの規定)で許可を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
- 法人で、その業務を行う役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの
風俗営業許可、深夜営業届出、飲食店営業許可で必要な書類

風俗営業許可申請
申請書及び添付書類は以下の通りです。当事務所が用意する書類は○、お客様の方でご用意していただく書類は☆印で記載しております。
申請書・添付書類 | 用意・作成する人物 | 備考欄 |
---|---|---|
許可申請書(個人または法人) | ○ | |
営業所周辺の略図 | ○ | 用途地域証明または都市計画図 |
使用承諾書 | ○ | |
建物の全部事項証明書 | ○※ | ※役所に請求 |
入居概況一覧図 | ○ | 営業所が入居する建物の他テナント一覧を記載 |
1階概況図 | ○ | |
入居階概略図 | ○ | |
営業所求積図 | ○ | |
客室などの求積図 | ○ | |
営業所の平面図 | ○ | |
営業所の求積一覧 | ○ | |
音響・照明の設備図 | ○ | |
営業方法を記載した書類 | ○ | 営業時間、システム・料金等を記載 |
誓約書(個人また法人) | ○ | 法人の場合は全役員分 |
誓約書(管理者用A・B) | ○ | A:誠実に業務を行うこと B:欠格事由に該当しないこと |
委任状 | ○ | 行政書士が手続きを代理する場合 |
住民票(申請者、管理者) | ○※ | ※役所に請求 本籍記載のもの |
履歴事項全部証明書(法人の場合) | ○※ | ※役所に請求 |
メニュー案 | ☆ | |
物件契約書のコピー | ☆※ | ※必須書類ではないが、必要な場合もあり |
定款のコピー | ☆ | |
身分証明書(申請者、管理者) | ☆ | 法人の場合は全役員分。外国人の場合は在留カードの両面コピー |
飲食店営業許可証のコピー | ☆ | すでに許可証がある場合 |
管理者の顔写真 | ☆ |
深夜酒類提供飲食店営業開始届
届出書類は以下の通りです。必須書類は☆、要求されることがある書類は○、場合によって必要な書類は△ としています。
申請書・添付書類 | 書類の必要度 | 備考欄 |
---|---|---|
営業開始届出書 | ☆ | |
営業方法を記載した書類 | ☆ | |
営業所の平面図 | ☆ | |
営業所の求積一覧 | ☆ | |
営業所求積図 | ☆ | |
客室などの求積図 | ☆ | |
音響・照明の設備図 | ☆ | |
定款のコピー(法人の場合) | ☆ | |
履歴事項全部証明書(法人の場合) | ☆ | 届出前3か月以内のもの |
住民票 | ☆ | ・本籍を記載 ・法人の場合は社外役員以外全員分 ・届出前3か月以内のもの |
在留カードのコピー(外国人の場合) | ☆ | 表・裏の両方 |
飲食店営業許可証のコピー | ☆ | すでに許可証がある場合 |
委任状 | ☆ | |
メニュー案 | ○ | |
営業所周辺の地図 | ○ | |
物件契約書のコピー | ○ | |
建物の全部事項証明書(自己所有の場合のみ) | △ | 届出前3か月以内のもの |
使用承諾書 | △ | |
誓約書 | △ |
飲食店営業許可申請
申請書・添付書類 | 備考欄 |
---|---|
営業許可申請書 | |
構造及び設備を明記した営業施設の平面図 | |
食品衛生責任者の資格を証明するもの | |
水質検査成績書の写しと原本 | 井戸水など、水道水以外の水を使用する場合 |
登記事項証明書(法人のみ) |
営業後の注意点

特に注意が必要なのは、冒頭でも説明した接待行為の有無です。これは風俗営業(1号)でのみ認められる行為ですが、一部のガールズバー・コンカフェ・スナックなどでは、風俗営業以外の業種にもかかわらず接待行為を行い、無許可営業として摘発されるケースが後を立ちません。
その他、風営法では以下の行為も禁止されています。
- 客引き行為。その行為をするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、またはつきまとうこと
- 営業所で、午後10時~翌午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させること
- 午後十時から翌日の午前六時までの時間において十八歳未満の者を営業所(少年の健全な育成に及ぼす影響が少ないものとして国家公安委員会規則で定める営業に係るものを除く)に客として立ち入らせること(保護者が同伴する十八歳未満の者を客として立ち入らせる場合を除く)。
- 営業所で、20歳未満の者に酒類・たばこを提供すること
これらの違反行為で摘発されると、廃業の危機に直面するだけでなく、罰則として「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」(風営法第49条)に処される恐れもあります。
そういった事態にならないよう、接待行為は行わないというルールを徹底的に守るか、最初から風俗営業で開業、あるいは途中で深酒営業→風俗営業に切り替えるというのも手段のひとつといえます。
開業までの流れ
風俗営業と深夜酒類提供飲食店営業で異なる部分がありますので、詳細は以下の記事をご覧ください。
■風俗営業「申請までの流れ」
■深夜酒類提供飲食店営業「申請までの流れ」
まとめ
深夜営業店の開業手続きについて、風俗営業許可の違いも含めて説明しました。申請要件に関するご相談や、これからの開業をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
◆対応地域◆
■神奈川県
横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、逗子市、三浦市、秦野市、厚木市、大和市、伊勢原市、海老名市、座間市、南足柄市、綾瀬市
■東京都
〇23区
千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区
〇23区外
八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市など
「千葉県」「埼玉県」その他地域からのご相談も受け付けております!